つゆのかわむこう
「お住まいはどこですか?」とたまに聞かれることがある。「か わ む こ う で す・・・」と応える。
私は「か わ む こ う」という言葉の響きが好きで、
響きを楽しみながら、好んでつかう。
「川向うね・・・」聞いた人は色々な川を想像するらしい。
荒川、隅田川、江戸川、多摩川、鶴見川、相模川、・・・
聞いた人は想像しながら、なにかを楽しんでる。

窓の外は雨が降り出した。
傘の花が、二つ四つ咲きはじめ、舗道がぬれていく。
子どもの頃の「つゆ」はカタツムリやナメクジ、アジサイの花で
「梅雨どき」を知ったが、今はカタツムリもナメクジも姿を見せない。
「かわむこう」の埼玉では突風が吹き、ヒョウが降り、大雨となった。
最近の梅雨はテレビで見る 風と水と雨の災害である。
雨も風も晴天もすぐに災害になるのが昨今である。
雨の余韻、風の風情、晴天の趣を楽しむことができなくなった。
せめて、心の中では「自然の現象」から思い出しの余韻を楽しんでいたい。

Koji